第182章 生まれてから鏡を見たことはあるか?

「ここは病院よ。お願いだから、お母さん、一旦帰りましょう?」

 柏原星奈は顔を涙でぐしゃぐしゃにしていた。周囲にはすでに人だかりができ、多くの患者やその家族が彼らを指差し、中にはスマートフォンを取り出して撮影する者までいた。

 星奈はとっさに手で顔を覆った。

 トレンド入りしてネットで叩かれるのだけは、もう御免だった。

 しかし、柏原藍子は娘の懇願など意に介さず、悪鬼のような形相でその手を振り払った。

「あんたまで私に指図する気?」

「わかってるわよ、あんたもあの子が死ねばいいと思ってるんでしょう!」

「お前らはどいつもこいつもろくでなしだ! 私の息子が死ぬのを待ってるんだ!」...

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